あすなろ法律事務所
盗品がネットオークションに!どうしたらよいか!?

Q.私の車に取り付けられていたカーナビがネットオークションに出品されているのを見つけました。シリアルナンバーも一緒で間違いありません。取り戻すことは可能でしょうか。

A.
 出品者が、窃盗犯人であればネットオークションの主催者に事情を話して、取り戻すことは可能です。問題は、出品者が、窃盗犯人あるいはさらに転々と売買された後、盗品だと知らずに買い取った後、出品した場合ですが、この場合出品者が、盗品だと知らず、知らないことに過失がなければ、出品者の所有物になります。これを、即時取得(そくじしゅとく:民法192条)と言います。これは、取引の安全を保護するために法が認めた制度で、「動産」について、「平穏」かつ「公然」に物を支配した者が、「善意」、「無過失」であれば、所有権を取得することができるのです。ですから、通常、リサイクルショップなどで中古品を買え場合は、即時取得の要件を満たしますから、それが盗品であっても買った人の所有物になります。 それでは、元の所有者が絶対に取り戻せないかといえばそうではありません。法は、盗品又は遺失物については、被害者または遺失主は、盗難等の時から2年間に限って、相手が即時取得の要件を満たす占有者であっても、回復請求をすることができると規定しています(民法193条)。但し、当該占有者を保護する必要もあるので、当該占有者が、第3者から購入した代金を弁償しなければなりません(民法194条)。なお、詐欺や横領で物を取られた場合は、この回復請求権は認められていませんので注意してください。 設問では、他の人が落札すると取り返しが面倒になるので、取りあえず自分が落札して品物を取り戻した後、警察に被害届を出して捜査をしてもらうのが得策と思います。ネットオークションは「古物営業法」の対象とされていて、主催者は、盗品等が出品されないように注意する義務があり、必ず、出品者の身元確認などを確認しているので、警察も捜査はやりやすいと思います。そして、窃盗犯人が分かった段階で、その犯人に落札代金相当額の損害賠償を求めるということになります。